トヨタ儲けすぎで苦悩。円相場変動でどうなる?

トヨタ自動車が2015年3月期に2兆円を超える過去最高最終利益を見込みました。

これによって、約3万社ともいわれる取引先や従業員への利益還元を求める声が一層強まるのは必至です。

「もうけすぎ」との批判も一部で出るなかで、国内最大の製造業として景気回復への貢献度が問われています。

ただ、利益の上ぶれは円安による海外販売の採算改善が主な要因。

将来円高に転じる可能性も見据え、持続的成長とどう両立するのか難しいかじ取りを迫られています。

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「デフレ脱却と『経済の好循環』が日本経済にとって極めて重要なことです。

企業としてできることを考えたい」と、トヨタの佐々木卓夫常務役員は4日の決算会見でこう述べ、取引先の活力向上につなげるため利益を還元する考えを示しました。

トヨタは15年度上期、取引先企業に対する部品購入価格の値下げ要求を見送る方針だ。14年度下期に続く見送りとなります。

トヨタは従来、半年ごとに1~1.5%程度のコスト削減を求めてきたが、取引先の負担を軽減して賃上げを後押しする。

アイシン精機などトヨタグループの主要部品メーカーも同様の措置を取るとみられています。

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国内生産の約5割を輸出に回すトヨタにとって円安効果はとても大きく、1ドル当たり1円円安に動けば営業利益が年400億円上昇します。

しかし、海外に販路を持たない中小部品メーカーは原材料価格の高騰で逆に打撃を受けているのが現状。

ある部品メーカー幹部は「円安はむしろマイナス面のほうが強い。ベアなんて考えられない」と苦しい実情を語ります。

こうした2次、3次の取引先にまで値下げ要求見送りの効果が波及すれば、円安の恩恵を受けられない中小企業にも賃上げ余力が生まれる可能性があります。

また、トヨタは15年春闘でベースアップ(ベア)に相当する賃金改善を2年連続で実施する見通しです。

労働組合は昨年の妥結額の2倍超となる月額6000円のベアを要求する方針を固めており、春闘相場をリードしそう。

安倍晋三政権の強い期待感に応えるため、日本を代表する企業としてトヨタが腐心している様子がうかがえます。

ただ、コスト削減努力はトヨタの競争力の源泉で、今期の最高益更新は1ドル=80円を上回る円高水準でも利益が出せるレベルまで無駄をそぎ落とした結果ともいえる。

今後も部品コストが下がらなければ競争力に影響を与える恐れもあり、社内では「好業績のなかでトヨタ伝統の徹底した倹約意識が薄れてはいないか」と危ぶむ声も出ています。

将来的に為替相場が円高に反転すれば、足元の円安効果がはげ落ち、ベアや原価改善努力の緩みによる収益構造の悪化が大きな打撃となりかねません。

独フォルクスワーゲンなどのライバル企業と世界販売首位を争うトヨタにとって、利益還元の大盤振る舞いで「稼ぐ力」を毀損(きそん)すれば、それはそのまま負の遺産となります。

成長を維持しつつ、社会的責任にどう応えるのか。好業績の影で、抜きんでた強さ故の課題がトヨタを悩ませています。

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